悪臭の程度を把握したり、脱臭対策の検討を行うなどの必要性がある場合には、臭気を数値化する必要があります。
特に悪臭は、複合臭気の集合体です。ある特定の臭気を判断するためには、数値化したとしてもたった一つの尺度で表現することは非常に難しいと思われます。それぞれの場面や特徴によって、複数の尺度で判断するなどの使い分けが必要であると思います。
方法 客観性
悪臭の数値化 | 臭気成分濃度表示法 | 単一成分濃度表示法 | ガス検知管 | |
複合成分濃度表示法 | においセンサー機器 | |||
ガスクロマトフィ | ||||
臭気官能試験法 | 臭気強度表示法 | 6段階臭気強度表示法 | △ | |
快・不快度表示法 | 9段階快・不快度表示法 | △ | ||
臭気濃度表示法 | 三点比較式臭袋法 | ○ | ||
臭気頻度表示法 | △ |
現在知られているにおいを感じさせる化合物は40万種あると言われています。たばこのにおい成分は数千成分が特定されています。それだけにおいは多くの臭気成分の集合体であるということです。しかし残念ながら、嗅覚のしくみはまだ解明の途上ではっきりしていません。臭気成分には相乗作用や相殺作用が存在することはわかっています。(単一である場合よりも特定の臭気と混ざることで強く感じたり、弱まって感じたりすることです。)それらの作用によって、最終的な におい を感じるということになります。
また、同じ臭気を嗅ぎつづけていると、慣れや順応が生じます。鼻がバカになるというのはこのことです。臭気物質の濃度が10倍100倍になっても、感じる強さは10倍100倍には感じません。強くなればなるほど嗅覚は鈍くなり、弱くなれば鋭くなります。
ウェーバー・フェヒナーの法則が嗅覚にもあてはまるといわれます。臭気物質が50%減少しても、感覚としての強さは10%減ったくらいでほとんどかわらず、97%で元の臭気の半分、99%で元の臭気の1/3に減ったとしか感じられません。よって、臭気は化学的に分析して存在が確認できたとしても、嗅覚としてどの程度認識できるかどうかは別問題であると言えます。
悪臭を客観的に捉え、脱臭対策の検討を行おうとした場合、成分濃度表示法の他に官能試験法の臭気濃度を分析手法として採用する必要があると考えます。臭気濃度について特に重要であると考えます。
【臭気濃度表示法(広幡性表示法)】
臭気濃度は臭気の広がりの程度を表す尺度です。無臭の清浄な空気で希釈したとき、無臭に至るまでに要した希釈倍数という定義がなされています。臭気濃度10,000とは、その臭気を清浄な空気で10,000倍に希釈したときに初めて臭いが消える臭気のことをいいます。
【三点比較臭袋法】
容積3gの袋を3つを用意し、2つの袋には無臭の空気を入れ、残りの1つには希釈したサンプル袋を用意します。嗅覚試験に合格したパネラーを6名に、3つの袋のにおいを嗅ぎ、においがあると思われる袋の番号を回答してもらいます。
排出口法の場合
3倍系列の下降法により実施します。100倍希釈で正解すれば、300倍希釈、1000倍希釈とテストを不正解になるまで続けます。6名の値をそのまま平均するのではなく、上下の値をカットして4名の値を平均して、臭気指数と臭気濃度を求めます。
N =10 × log S N:臭気指数 S:臭気濃度
臭気濃度 | 10 | 30 | 100 | 300 | 1000 | 3000 | 10000 | 30000 | 100000 |
臭気指数 | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 | 50 |
Copyright (c) 1997-2009 nsk